エネルギー大手は株主やアクティビストからの圧力を受けて、汚染度が高くリスクの大きい世界各国のプロジェクトから相次ぎ撤退している。その空白を埋めようと、こぞって進出しているのが小規模なエネルギー企業だ。ナイジェリアでは現在、近年撤退したエネルギー大手から石油・ガス鉱区のリース権を取得した小規模企業が、全体の半分近くを保有する。中南米では、ある独立系企業が、米オキシデンタル・ペトロリアムや英BPが敬遠した鉱区で石油探査にまい進している。アジアでは、米シェブロンが軍事政権下のミャンマーでガス田事業から撤退を余儀なくされ、ほぼ無名のカナダ企業が権益の買収で合意した。一連の動向は、規模が小さく機敏な経営が可能な企業が、エネルギー価格の上昇や大手撤退に伴う商機をうまく利用している実態を浮き彫りにする。大手各社は目下、クリーンエネルギーに事業の軸足を転換するか、収益性の高いプロジェクトに注力している。大手による炭素排出の削減努力にもかかわらず、全体の排出量はほぼ全く変わっていない現状が鮮明になっている。