最近の中国当局による外資系企業への締め付けで、習近平国家主席が経済成長よりも安全保障を重視することが明白になった。内情を知る関係筋によると、習氏はいかなる疑念も払しょくするため、諜報活動などを行う国家安全省のトップ、陳一新氏を外資取り締まりの責任者に起用した。米調査会社の現地事務所への家宅捜索や米コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーの現地スタッフへの事情聴取といった外資を標的とする動きを受けて、世界各国の企業に衝撃が走っている。こうした中、外資系企業の幹部は、習指導部の誰も、従来のように外国人投資家の不安払しょくに努めようとしなかったことに対して驚きを隠せない。これまで外国人投資家のつなぎ止めを担っていたのは、習氏の経済顧問を長年務めていた劉鶴氏といったテクノクラート(技術官僚)だった。劉氏はトランプ米政権との貿易交渉を主導した人物で、3月に引退した。今回は、締め付けが激しさを増す中でも、経済担当の当局者は沈黙を保っている。
中国の外資締め付け、スパイ機関トップが主導
経済の優先順位は後退、技術官僚に代わり公安当局者の影響力強まる
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