ジョー・バイデン米大統領とケビン・マッカーシー下院議長は、政府債務上限引き上げをめぐる交渉の行き詰まりを解消できずにいる。民主党が過去2年間に実行した大盤振る舞いの範囲について認めようとしないことが、交渉進展の大きな障害の一つになっている。共和党下院議員が4月に示した法案は、次の10年間の支出を幾分抑制することを条件に、債務上限の引き上げを認める内容だった。しかしマッカーシー氏は、要求の基準を明確にしている。それは、今年9月末までの2023会計年度と比べ、2024年度の裁量的支出を減らすことを議会に義務付けるというものだ。これを受けてホワイトハウスは、裁量的支出の定義書き換えに奔走している。問題になっているのは、過度に行われた支出の規模を隠すために、議会が近年使用してきた会計上のトリックだ。連邦政府の支出の大半は「義務的」で、これまでの法律によって規定されており、社会保障、メディケア(高齢者向け医療保険制度)やメディケイド(低所得層向け医療扶助)などの長期的なプログラムのために自動的に確保されている。議会は毎年、これと別に裁量的支出の水準を定め、個別の歳出法案を通じて、国防総省からの要求、教育から住宅支援に至るまでのすべてについて優先順位を付ける。