インフレ・円安の時代に入った今、資産を預金だけで持つことはリスクがあり、おすすめできない。「先行き不透明な時代」には、これまで投資に無縁だった人も資産を守り・育てるために資産運用を始める必要がある。このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資』(朝倉智也著、ダイヤモンド社)が発売された。本書は、投信業界のご意見番が新しい時代を乗り切る「究極の運用法」をアドバイスするお金の入門書。大切なお金を守り増やすためには、どうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。

【投資のプロが教える】ミドル以降の資産活用層が、お金を増やすために今すぐやったほうがいい2つのことPhoto: Adobe Stock

資産活用層の「安定運用」と
「積極運用」のお金の分け方とは?

 次に、資産活用層の方の場合を見ていきましょう。下図をご覧ください。

 基本的には、金融資産額にかかわらず「保有している金融資産の20%を預金に置いておき、80%を債券ファンドに回す」「預金+年金収入の中から、金融資産の0・5%相当額を株式ファンドの積み立て投資に回して積極運用する」のが資産管理法のベースになります。

 たとえば、今あなたは1000万円の金融資産を持っているとします。

 この場合、200万円(金融資産の20%)は「使うお金」として預金口座に置いておき、残りの800万円(金融資産の80%)は債券ファンドに一括投資します。

 そしてあなたの預金口座には、金融資産から取り崩していく「使うお金」と年金収入が入ることになります。積極的な運用をする分は、この預金口座から毎月一定額を株式ファンドの積み立てにあてていきましょう。

老後資金の価値が目減りしない安定運用と
長生きリスクに備えた積極運用が可能に

 1000万円の金融資産がある人は、その0.5%、つまり5万円が月々の積み立て額になります。1年間で60万円を積極運用に回すわけです。

 2000万円の金融資産がある人は、400万円(金融資産の20%)を預金口座に置いておき、1600万円は債券ファンドに回します。そのうえで、預金口座から毎月10万円(年間120万円)を株式ファンドに積み立て投資します。

 3000万円の金融資産がある人は、600万円(金融資産の20%)を預金口座に置いておき、2400万円は債券ファンドに回します。そのうえで、預金口座から毎月15万円(年間180万円)を株式ファンドに積み立て投資します。

 預金口座の「使うお金」が不足しそうになったら、随時、債券ファンドを売却して預金口座に移しましょう。

 このように金融資産を分けて管理すれば、使う時期が来るまでの間、老後資金の価値が目減りしないように安定運用することができますし、長生きリスクに備えた長期的な積極運用も可能になります。

 一見、面倒そうに思えるかもしれませんが、実際にやることは「①預金口座から債券ファンドに8割のお金を移す」「②預金口座から毎月一定額を、株式ファンドに積み立て投資する設定を行う」の2つだけです。

(※本稿は『インフレ・円安からお金を守る最強の投資』の一部を抜粋・編集したものです)

朝倉智也(あさくら・ともや)
SBIグローバルアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年米国イリノイ大学経営学修士号(MBA)取得。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。1998年モーニングスター株式会社(現 SBIグローバルアセットマネジメント株式会社)設立に参画し、以来、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。SBIホールディングス株式会社 取締役副社長を兼務し、SBIグループ全体の資産運用事業を管掌する。主な著書に『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。