ロシアのウラジーミル・プーチン大統領による戦争がどのように終結するのか、楽園のこちら側にいる者には分からないが、(元米大統領補佐官の)ズビグニュー・ブレジンスキー氏は1994年、こうした戦争がもたらし得る影響を指摘していた。同氏はフォーリン・アフェアーズ誌に「ウクライナがなければ、ロシアは帝国ではなくなる」と記している。プーチン氏はこの意見に大賛成だろう。プーチン氏にとっても、また、同氏の威光にしがみつくロシアの国家主義者たちにとっても、ロシアは帝国であり、そうでなければ何の価値もない。ウクライナの勝利とは、同国が本来の領土の全て、または大部分を奪還し、ロシアから離れ、西側諸国と連携した国となる形での戦争の終結と表現することができるが、そうなれば地政学上の構図を変える地震が起きたような事態となるだろう。18世紀以来、欧州が知り、恐れてきたロシアとは、西方への拡大を容赦なく進めようとする巨大で迫り来る存在だが、そのようなロシアは消滅する。その結果、欧州と中東の政治状況は一変し、米中競争は新たな局面に入ることになろう。
【オピニオン】プーチン氏がウクライナで負けたら?
ロシアが敗北すれば欧州の政治と米中対立は一変
有料会員限定
あなたにおすすめ