ウクライナ政府は6日、国際司法裁判所(ICJ)に対し、ロシアがテロ資金供与や人種差別を禁じる条約に違反していると宣言するように要請した。ロシアが2014年から掌握しているクリミア地方に加え、現在制圧しているドネツクおよびルガンスク地域においてこれら違反を繰り返しているとしている。ウクライナ政府の代表団はハーグで開かれた公聴会で、ロシア政府が条約に基づく義務を無視したことが、これら地域での複数の残虐行為や戦争犯罪につながったと主張。ロシアから兵器を供与された民兵らが2014年にマレーシア航空機を撃墜させたことや、ウクライナやタタールの民族文化の継続的な抑圧が続いていることを挙げた。ウクライナによる提訴は2017年1月に行われたもので、その5年後にロシアによる本格的な侵攻が始まった。ウクライナ政府のアントン・コリネビッチ代表は、ロシアによる10年近く前の行動に国際社会が適切な対応を取らなかったことが、22年2月の侵攻につながり、欧州では1945年以降で最大の戦争につながったと述べた。