【キーウ(ウクライナ)】最近のある日の午前3時30分頃、10数発のロシア製ミサイルが、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を防衛している同国防空部隊のレーダースクリーンに映し出された。
ミサイルはキーウに向かって飛んでおり、中には速度がマッハ6(音速の6倍)に達するものもあった。多くは、隊員が操作する迎撃ミサイルシステムの発射機を直接狙っていた。
PHOTO: OLEH ROHIV FOR THE WALL STREET JOURNAL
ウクライナの部隊長はインタビューで、隊員たちはパニックに陥らなかったと述べた。彼らには時間がなかった。
しかし、部隊には米国製の地上配備型迎撃ミサイルシステム「パトリオット」が配備されていた。このシステムは数日前、極超音速弾道ミサイル「キンジャル」を初めて迎撃していた。Kh-47としても知られるキンジャルは、ロシアが保有する最も先進的な兵器の一つだ。
5月16日の早朝、パトリオットのレーダーは、キンジャル6発を含むミサイルが約125マイル(約201キロメートル)先を飛行しているのをとらえた。パトリオットのコンピューターがミサイルを追跡し、迎撃ミサイルを発射して全て破壊した。最後の1発を迎撃したのは約9マイル先で、着弾まであとわずか数秒のところだった。
キーウを防衛する第96対空ミサイル旅団の司令官、セルヒー・ヤレメンコ大佐は「パトリオットが極超音速ミサイルKh-47を迎撃できると100%確信していた人は誰もいなかった。ウクライナ人は迎撃可能だと証明した」と語った。