ウクライナ和平、時期尚早の交渉は危険Photo:Contributor/gettyimages

――筆者のマイケル・キンメージ氏はアメリカ・カトリック大学教授(歴史学)で、2014年から16年まで米国務省でロシア・ウクライナ担当の政策企画部スタッフを務めた。ハンナ・ノッテ氏はウィーン軍縮不拡散センター(VCDNP)のシニアリサーチアソシエイト。

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 ロシアのウクライナ侵攻から1年がたち、外交のエンジンが回転数を上げている。中国は戦争終結に向けた計画を誇らしげに提案し、ハンガリーがそれを支持したところだ。トルコは当初から、ロシアと直接のつながりを持つ北大西洋条約機構(NATO)加盟国として仲介役を名乗っている。他にも、ブラジル、インドネシア、イスラエル、南アフリカ、アラブ諸国など多くの国が仲介を申し出ている。フランス、ドイツ、英国は最近、ウクライナの安全を保障する考えを提案した。NATO加盟諸国からの兵器供与が拡大すれば、ウクライナはロシアとの和平合意に向けて動く可能性があると期待されている。

 バイデン政権は「必要な限り」ウクライナを支援すると繰り返し約束してきたが、米国に制約がないわけではない。ウクライナに供与できる資金と物資には限りがある。一部の共和党員はロシアとの戦いを避けたいと考えており、共和党員も民主党員も新たな「永遠の戦争」の責任を負うことを望んでいない。新たな選挙シーズンが始まろうとする中、バイデン政権にはこの戦争の終着点を見つけるよう圧力が増すだろう。ロシアとウクライナのいずれかが決定的な敗北を喫することがなければ、この戦争は交渉による解決で終わるほかない。