「将来のお金が不安」「貯金や投資なんて余裕はない」「買い物を楽しめない」──​お金の悩みは尽きることがない。そんな中で「若い人ほど読んでほしい」「お金の知識を網羅的に学べる」と絶賛の声を集める本がある。『トゥー・ビー・リッチ 経済的な不安がなくなる賢いお金の増やし方』だ。誰でも今日からスタートできる「お金の増やし方」を提示し、世界で累計100万部突破した大ベストセラーだ。Amazon.comでは1万件以上の星5レビューが集まり、全米から世界中へと本書の実践者が増えている。本稿では本書から一部を特別に公開する。

何事も続かない人に必ず共通する「1つの悪いクセ」Photo: Adobe Stock

「極端なやる気」ほど長続きしない

 新しく始めたことに急に熱を入れすぎて、すぐに燃え尽きた人を見かけたことがないだろうか?

 私なら回数を減らして、長く持続できるようにする。

 ある女性はメールで「週に三度ジョギングすると自分に言い聞かせているのですが、これまで実行できたためしがありません」と相談してきた。

 私は「週に一度から始めてみたらどうですか?」と返信した。

 すると彼女は「週に一度だけですか? 一度だけで何の意味があるのでしょうか?」と返信してきた。

 彼女は週に一度実際に走るよりも、週に三度走ることを想像していたいのだ。

お金が貯められる人と、お金が貯まらない人の違い

 持続可能な変化という考え方は、パーソナル・ファイナンスにおける核心と言えるものだ。

 次のようなメールを送ってくる読者もいる。

「ラミット、お金の管理を始めました! 以前は週に500ドル使っていましたが、今では週に5ドルしか使わず、残りを貯蓄に回しています!」

 私は思わずため息をついてしまう。

 月に495ドルも貯蓄に回すと聞けば、私が喜ぶと思ったのかもしれないが、極端な変化が長続きしないことを私は経験上知っているのだ。

 私は自分を変えようとするとき、ほぼ必ず小さな変化から始める。そこから徐々に変化の度合いを大きくしていくのだ。

 例えば、私が月に1000ドルほど支出を切り詰めなければならないことに気づいたとすると、2つの重要な項目──大きな金額で、努力すれば切り詰められる項目──を選び、それら2つに努力を集中させる。

 私が外食に月500ドル使っていたとすると、外食代は次のような変化をたどる。

1ヵ月目──475ドル
2ヵ月目──450ドル
3ヵ月目──400ドル
4ヵ月目──350ドル
5ヵ月目──300ドル
6ヵ月目──250ドル

 特に誰かと競い合っているわけではないものの、半年で外食代を半分に削れることになる。

 同じやり方をもう1つの項目にも適用すれば、月に数百ドル支出を切り詰められる。

 このように緩やかなやり方のほうが持続可能性は高い。

「やる気に振り回される」のではなく、「理性的なプラン」に沿って行動する

「1ヵ月は酒を飲まないことに決めた」などと吹聴している友人があなたの周りにもいないだろうか?

 私はこの種の突発的な行動の意味を理解できない。

 これから1ヵ月間、支出を半分に切り詰める。それで果たして、何かが変わるのだろうか?

 もし継続できずに以前の生活に戻るのであれば、何も成し遂げていないことになる。

 パーソナル・ファイナンスにせよ、食生活にせよ、運動にせよ、きょう最小限の変化を達成することに集中しよう。

 ほとんど気づかないような僅かな変化でかまわない。そこからプランに沿って、少しずつ変化を大きくしていけばいいのだ。

 こうすれば、時間はあなたの側についてくれる。

 月を追うごとに状況は改善していき、最終的には大きな変化を達成できるだろう。

(本原稿は、『トゥー・ビー・リッチ 経済的な不安がなくなる賢いお金の増やし方』からの抜粋です)

ラミット・セティ(Ramit Sethi)

ウェブサイト「I Will Teach You To Be Rich」を運営し、お金やビジネス、心理学について幅広い読者に向けて情報を発信している。これまでにThe New York Times、Fortune、The Wall Street Journalなど多くの経済メディアで取り上げられてきた。スタンフォード大学でテクノロジーと心理学を学び、現在は妻とニューヨークに住んでいる。2023年4月より、Netflixでラミット・セティを特集した『ハウ・トゥー・ゲット・リッチ』が全世界に配信。