ロシアが過去数十年で最悪の労働力不足に陥っている。ウクライナでの戦争を受けて、何十万人ものロシアの労働者が国外に移住したり前線に派遣されたりしたためだ。西側諸国による制裁と国際的な孤立によって圧迫される経済の基盤が弱体化している。ロシアでは昨年、国外移住の波が2度にわたって起きた。ソ連崩壊後では最大規模だ。その上、約30万人が戦争に動員されたため、長期的な人口減少の影響で既に逼迫(ひっぱく)していた労働市場がさらに悪化した。その結果、ロシア企業では、プログラマーやエンジニアから溶接工、石油採掘業者に至るまで、経済活性化やウクライナでの戦争支援に必要なあらゆる職業で人材が不足している。この流れを食い止めるため、ウラジーミル・プーチン大統領は先月、財政的・社会的インセンティブを含む人口流出反転策の策定を政府担当者らに命じた。ロシア政府はこれまで、ハイテク業界の労働者を国内にとどめておくために、税制優遇措置や低金利の融資、有利な条件での住宅ローンを提供してきた。