わかりにくい「YCC柔軟化」
長期金利上昇、円安一時146円台
日本銀行は10年国債利回りの変動幅を、0%の目標値から「±0.5%程度」としていたが、7月28日の金融政策決定会合で、「±0.5%程度を目途とする」とした。他方、これまで0.5%で実施していた毎営業日の指値オペを1.0%の水準で行うと修正した。
今回の措置は政策修正ではなく、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の運用の柔軟化措置だと説明された。
「修正」という言葉を使わずに「柔軟化」という表現をしたのは、金融緩和の縮小ではないという意図を伝え、市場の動揺を和らげようとしたのだろうと言われている。
しかし植田和男総裁は会見で、「柔軟化と紙に書いてはいるがそれは修正とそんなに意味としては違わない」と述べている。では、やはり修正なのか?
決定発表直後から株式市場や為替相場は方向感が定まらない展開になり、その後も長期金利は8月23日には一時、0.675%と9年7カ月ぶりの高水準になる一方で、円安が進みドル円相場は8月17日には一時146円台まで下落し、年初来の最安値になった。