米ブラックロックは、ラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)が中国を「最大級のチャンス」と称した約1年後の2021年、世界的な資産運用会社としては初めて、同国で全額出資の投資信託事業を立ち上げた。それから2年、同社は厳しい競争にさらされている。金融データ会社ウインドによると、中国における運用資産額でブラックロックは中国系投資信託約200社中145位。フィデリティ・インターナショナルとニューバーガー・バーマンの中国完全子会社はさらに下位だ。ブラックロックのさえないスタートは、中国で富を築くという他の米金融大手が抱いていたはかない夢の象徴だ。現地企業は中国系投資銀行を選び、米銀が同国で手掛ける案件は減っている。一方で海外投資家の間では、中国の景気減速やデータ確保の難しさを背景に、同国への関心がしぼんでいる。