医療費が高額になってしまったときに上限がかかり、超過分の払い戻しを受けられる「高額療養費制度」。その恩恵を受け損ねないために絶対知っておくべきことをお伝えしたい。前回の「70歳未満編」に続き、今回は「70歳以上編」をお届けする。記事の執筆に当たり、複数の自治体に独自調査をしたところ、驚きの「サービス格差」も明らかとなった。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)
医療費が戻ってくる高額療養費制度
70歳以上はメリットが二つ
前回のコラムでは、『医療保険いらずの「高額療養費制度」、知らないと“医療費払い戻し”で損する3つのこと』と題して、「70歳未満」の人を対象に高額療養費の払い戻しを受け損ねないためのポイントをお伝えした。
今回は「70歳以上編」をお伝えする。70歳以上になると高額療養費制度の仕組みが少し変わるのをご存じだろうか。実は「70歳以上」の制度の内容は、69歳までより重要な情報なのだ。現役世代の人も将来の自分のため、また高齢の親のために絶対に知っておいてもらいたい。
70歳になると、「外来」と「入院した月は外来+入院」のそれぞれに限度額が設定される。これが大きな変更点だ。メリットは次の二つ。
【メリット】
・一般的な所得なら69歳までの限度額より低くなる
・複数の医療機関での支払いを「合算」できる
この二つの変更点により、高額療養費制度による払い戻しを受ける機会が増える。しかし、いくつか落とし穴が潜んでいるので今回はこれを解説したい。
また、記事の執筆に当たって七つの自治体を独自調査したところ、自治体による驚くべき「サービス格差」の実態も明らかとなったので、それについてもお伝えしよう。筆者が調査で実際にした「五つの質問」は、あなたの自治体のサービス度合いをチェックするためにも使えるので、質問の内容もぜひ参考にしてほしい。