写真:医療費明細書Photo:PIXTA

確定申告シーズンが始まったので、今回は「医療費控除」について解説したい。知らないと大損しかねない、絶対知っておきたい重要ルールが五つある。その中には、昨年当コラムで指摘した「国税庁の申告サイトの“罠”」に関するものもある。国税庁に悪気はないはずだが、気付かない人が大損する可能性が高いのでご注意いただきたい。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)

医療費控除で損をしないための
「重要ルール」を知る

 確定申告の受付が始まった。今回は、多くの人が関心を寄せる「医療費控除」について、「損しない」コツをお伝えしたい。

 医療費控除とは、1月から12月までの1年間に支払った医療費が10万円を超えたときに受けられる所得控除のこと。10万円を超えた部分が所得控除の対象となる(最高で200万円)。

 医療費控除を受けると税金が戻ってくるので、昨年の医療費支払いが多かった人は多少手間がかかっても申告しよう。思い違いをして「損」を避けるために、一般的によく言われる注意点は次の三つがある。

◆同じ生計の家族の医療費をまとめることができる
→単身赴任中、仕送りしている別居の大学生の子どもなども含めて、家族の分も合算OK

◆家族で一番所得の高い人が控除を受けよう
→所得が高い人が受けると還付金も多くなるのが原則

◆所得が200万円未満の人の足切り額は10万円ではなく、所得金額の5%の金額となる
→例えば給与収入200万円の場合、所得金額は122万円。その5%である6万1000円が足切り額となるので、6万1000円を超える部分が控除対象となる。

 医療費控除の申告は、他の確定申告の項目に比べると身近で手軽だが、上記3点以外にもある注意点を押さえておかないと「大損」する可能性がある。絶対知っておきたい医療控除の重要ルールを五つ紹介しよう。

(1)健康保険や民間保険から受け取ったお金は「補てんされる金額」として、医療費から差し引かねばならない
(2)「補てんされる金額」は、受け取ったお金の全額ではない
(3)がん診断給付金、出産手当金は「補てんされる金額」に含めなくてもいい
(4)公的介護保険の自己負担額も医療控除の対象となる
(5)国税庁「確定申告コーナー」の医療費控除明細書作成用エクセルの「罠」に気を付ける

 順を追って解説していこう。