物価上昇が家計にダメージを与えつつある今こそ、見直したいのが医療費。特に大きなケガや病気をして、まとまった医療費がかかってしまうときどうすればいいのか。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第243回では、インフレに負けない高額療養費の裏ワザを5つ紹介する。(フリーライター 早川幸子)
物価上昇が家計を直撃
今こそ知っておきたい高額療養費制度とは
総務省統計局が、6月24日に発表した22年5月の消費者物価指数(総合)は、前年同月比2.5%。21年9月から9カ月連続の上昇となった。
物価の上昇率が2%を超えるのは、2014年に消費税が8%に引き上げられて以来のことだ。急激な物価上昇は一般家庭の財布を直撃している。
物価上昇の背景にあるのが、供給制約とウクライナ情勢の悪化だ。
3月21日、まん延防止等重点措置が全面的に解除され、国は経済活動の再開にかじを切った。コロナ禍で凍結されていた個人消費や設備投資は戻り始めたものの、物流の停滞や労働力不足は解消されておらず、需要に対する供給が追いつかない状況が続いている。加えて、ウクライナ情勢の悪化によって、ロシアが主要輸出国となっている原油や天然ガス、穀物などの商品価格が上昇し、急激な物価上昇を引き起こしているのだ。
日本の医療制度は、公的な医療保険(健康保険)で運営されており、その価格は全国一律の公定価格だ。物価が上昇したからといって、連動して医療費も引き上げられるようなことはない。だが、物価の上昇によって、食費や光熱費などの生活支出が増加傾向にある今、家計のゆとりは減っている。そうしたなかで、病気やケガをして高額な医療費がかかると、家計が圧迫されてしまう可能性もある。
そこで、万一の病気やケガに備える家計防衛として、医療費が高額になった場合の高額療養費制度を、さらにお得に使うための5つの裏ワザを確認しておきたい。