その選択は、たとえば、朝食はパンにするか、ご飯にするか。訪問先に出向くのに、JRを使うか、地下鉄にするのか。コンビニでの会計を、現金で払うか、ICカードにするか。そうした日常の小さなことから、人生の一大事である就職や結婚に至るまで、まさに人生は選択のオンパレードです。
そして、選択の岐路に立ったときに生じるのが、「迷い」です。
30年以上にわたって自律神経を研究してきた私が、みなさんにお伝えしたいのは、情報やモノがあふれ、選択肢が増えている「選択肢過多」の現代では、この「迷い」こそが、自律神経を乱す大きな要因になっているということです。
自律神経が乱れる悪循環は「迷い」から始まる
では、なぜ、「迷う」と自律神経が乱れるのでしょうか。
自律神経には、活動するときに働く交感神経と、休息するときに働く副交感神経があり、その2つがバランスを取りながら、心と体の安定を保っています。ところが、迷うと「決めなければいけない」という行為がストレスになって、交感神経が優位になり、そのバランスが崩れてしまうのです。決めたら決めたで、迷った末の選択なので、「本当にこれでよかったのだろうか」と不安になって、さらにストレスがかかり、自律神経を乱すという悪循環に陥ります。
よく「魔が差す」といいますが、これは明らかに自律神経の乱れからくる行為です。浮気や不倫などがまさにそうですが、迷った結果、自律神経を乱して「負の選択」をしてしまうのです。
迷うと自律神経が乱れるし、自律神経が乱れれば、いい選択ができなくなってしまいます。たとえば、地下鉄の改札を通ったら、発車のアナウンス音が流れてきた。次の電車を待とうか迷った挙句、電車に飛び乗ったら足首をひねって大変な目に遭ってしまった……そんな話は山ほどあります。
迷わなければ自律神経は乱れないわけですが、現代社会は毎日が選択のオンパレードです。迷わないでいるのは、至難の業(わざ)といっても過言ではありません。
そこで、少しでも迷いを減らして、よりよい選択をするためには、どうしたらいいのか。そのヒントをみなさんにお伝えしたいと思います。