「朝、何を着ていこうか」からはじまり、一日は選択の連続です。迷いは自律神経の乱れにつながり、失敗をまねくことも……。迷いのない、「シンプル」な選択をするためにはどうしたらいいのでしょうか。自律神経研究の第一人者として、数多くのプロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニングやパフォーマンス向上指導に携わっている小林弘幸さんの著書『「シンプル」な選択が自律神経を整える理由』(青春出版社)から、迷わないヒントを紹介します。
いい流れに乗るための「シンプル」な選択
映画『ラ・ラ・ランド』をご存じでしょうか。2016年にアメリカで公開され、アカデミー賞の監督賞をはじめ、数々の賞を獲得した大ヒット作品なので、ご覧になった方も多いのではないかと思います。
その映画のエピローグに、こんなシーンが出てきます。高速道路で渋滞に巻き込まれ、急遽(きゅうきょ)ハンドルを切って一般道に入った主人公が、通りかかったライブバーで偶然、かつての恋人の姿を目にします。そしてそこから、別の選択を描いた“たられば”の映像が、走馬灯のように映し出されていきます。「あのとき、こうしていたら」「ああしていたら」、2人は今こうなっていたかもしれない、という現実には実現しなかった光景の数々です。
私はこの映画を観たとき、まさに自律神経の話そのものだと思いました。映画で象徴的に描かれている道路の分かれ道のように、人間は生まれたときから、常にどちらを選ぶか、岐路に立たされています。1つ選べばその先にはまた岐路があり、枝分かれのように選択が続いていきます。