「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。
本書の読者からは、
「子を持つ親として、食事の大切さがよくわかった」
「本を読む習慣がない私でも読みやすく、頭に入りやすかった」
「何度も読み返したい本!」
といった声がたくさん届いています。不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験によってわかった本当に子どもの体と脳によい食事。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。
ブロッコリースプラウトを知っていますか?
いま世界中から注目されているブロッコリースプラウトをご存じですか?
ブロッコリースプラウトはブロッコリーの新芽のこと。高い抗酸化力をもつスルフォラファンが、ブロッコリーに比べて約10倍含まれています。また「スーパースプラウト」と呼ばれるブロッコリースプラウトには、約20倍含まれます。
スルフォラファンによって働きが活発になった解毒酵素は、約3日間体内で効力を持続します。そのため、3日に1回ほどの摂取でも、効果は得られるのがうれしいポイントです[*71]。
スーパーなどの店舗に数種類のブロッコリースプラウトが並んでいる場合、含まれるスルフォラファンの濃度が異なります。濃度を示すマークがついているので、高濃度のものを選びましょう。
週に3回、加熱せず生のまま食べるのがおすすめです。いつもサラダやおかずにプラスしてみてください。ブレンダーなどで細かく刻んでもOKです。
ちなみに、ブロッコリースプラウトを自宅で育てても、スルフォラファン含有量は残念ながらそれほど上がりません。
スルフォラファンって何に役立つの?
スルフォラファンは炎症を抑える力がとても強い成分です。「炎症を抑えられる」ということは、「内臓の障害を抑えられる」ということ。血管が動脈硬化になる可能性が低くなり、ひいては脳がより健康になります。
脳で炎症が起きると、脳機能が低下して、うつなどにつながります。
ほかにもスルフォラファンの効用を示す研究として、
●ピロリ菌を除去できたという研究[*72]
●糖化度を下げたという研究[*73]
●子どもの発達を促したという研究[*74]
などがあります。
また、スルフォラファンを多く摂取した子どもと摂取していない子どもでは、発達障害リスクが異なるという研究があります。自閉症の諸症状のいくつかが、高濃度のスルフォラファンの摂取で改善したという研究もあります[*74]。
身近な野菜のファイトケミカル(植物に含まれる有用な化学成分)のなかでもスルフォラファンは生体利用率がダントツに高く、健康効果が野菜のなかでも飛びぬけているといえます。
ちなみに2位は玉ねぎに含まれるケルセチンです。レモンも抗酸化力のあるものの1つです。
ほかにもあるファイトケミカル
ブロッコリースプラウトに含まれる「スルフォラファン」、玉ねぎに含まれる「ケルセチン」のほかにも、緑茶に含まれる「カテキン」やトマトに含まれる「リコピン」などが、抗酸化作用が高いファイトケミカルとして知られています。
目によいことで知られる、ブルーベリーに多く含まれる「ルテイン」もファイトケミカルの1つです。
このほかにも『医師が教える 子どもの食事 50の基本』では、子どもの脳と体に最高の食べ方、最悪の食べ方をわかりやすく紹介しています。
(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本』から一部抜粋・編集したものです)
*72 Fahey JW, et al. Sulforaphane inhibits extracellular, intracellular, and antibiotic-resistant strains of Helicobacter pylori and prevents benzo[a]pyrene-induced stomach tumors. Proc Natl Acad Sci U.S.A. 2002 May 28; 99(11):7610-7615.
*73 Song, Q, et al. Novel advances in inhibiting advanced glycation end product formation using natural compounds. Biomed Pharmacother. 2021; 140:111750.
*74 Singh K, et al. Sulforaphane treatment of autism spectrum disorder (ASD).Proc Natl Acad Sci U.S.A. 2014 Oct 13; 111 (43) 15550-15555.