市場は時に米政府・議会を真っ向から脅かすが、今回の株式・債券市場の動揺は、投資家が期待しているような反応につながらないかもしれない。市場が脅かした例の一つは、1990年代初頭のクリントン政権時代に起きた。財政赤字を受けて債券利回りが急上昇したのだ。ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領(父)にとって通年ベースで任期最後の年度となった1992会計年度(91年10月~92年9月)に、当時の過去最高額である2900億ドルの財政赤字を計上した。その年の大統領選では、財政を再建しなければ大惨事に陥ると訴えたロス・ペロー氏が全体の19%の票を獲得し、既存政党に衝撃を与えた。それから間もなくして投資家は、「債券自警団」を通じてペロー氏以上に大きな声を上げた。債券自警団はいわゆる「足による投票」に踏み切ったトレーダーのことで、米エコノミストのエド・ヤルデニ氏が名付けた。10年物の米国債利回りは1993年末に5.2%近辺まで低下(価格は上昇)し、20年ぶりの低水準を付けた1年後に8%超へと急上昇し、「債券大虐殺」と呼ばれた。