福山玲さん(現在68歳、仮名)は、納得しないまま50歳で離婚し、泣く泣く家を出ることになりました。貯金はたった300万円でしたから、手をつけたくありません。体力もないから、60代はそんなに働き続けることもできません。副業を必死で探すことしか方法はありませんでした。しかし、その必死になった50代があったからこそ、定年後の今でも月10万円前後の収入を得ています。どんな副業を探したのでしょう。(生活経済ジャーナリスト 柏木理佳)
50代で転機、体力と貯金に不安を感じたら…
定年後の生活を意識して、定年直前にフリーランスで仕事を始め、生涯楽しく働き続けている人が多数います。しかし、定年後を意識したからといって、全ての人がそうできるわけではありません。貯金と体力がなければ、「楽しく働き続けられるか」どうかはわかりません。
福山玲さん(現在68歳、仮名)は、50歳で離婚した上に、リウマチなどの持病があり、定年後に向けた自分探しはできませんでした。会社員としてずっと働いていましたが、離婚時の貯金は300万円しかありませんでした。そこで安定的に収入を得ることだけに割り切って、離婚後から「ゆるい副業」を始め、今は安定的に毎月の収入を得ていて、経済的な不安を解消することができました。
つまり、50代で、貯金と自分の体力を見極めることが大事なのです。まずは、貯金から分析してみましょう。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」によると、50代のおひとり様の貯金額の平均は1048万円ですが、中央値はたった53万円です。2人以上の世帯は1253万円、350万円ですから、おひとり様となると、かなり少ないのが実態です(『20代、30代、40代、50代など年代別の平均貯金額は?人生に必要なお金を解説』 |三菱UFJ銀行)。
また、物価が高くなり生活費が不足したからといって、数百万円しかない貯金を崩していたら、あっという間にゼロになる可能性があります。手元の貯金に手を付けず、副業などでカバーすることも大事です。
さて、福山さんは、貯金300万円だったので、定年後を貯金だけで乗り切ることは厳しいだろうと考えました。さらに、病弱だったので「体を動かさないでも収入を得る方法」を考えました。といっても、投資ではありません。