美術館に行っても「きれい!」「すごい!」「ヤバい!」という感想しかでてこない。でも、いつか美術をもっと楽しめるようになりたい。海外の美術館にも足を運んで、有名な絵画を鑑賞したい! そんなふうに思ったことはないでしょうか? この記事では、書籍『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』から、ご指名殺到の美術旅行添乗員、山上やすお氏の解説で「知っておきたい名画の見方」から「誰かに話したくなる興味深いエピソード」まで、わかりやすく紹介します。

モナ・リザ レオナルド・ダ・ヴィンチ『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』より

「モナ・リザ」って普通の絵に見えるけど、何がすごいの?

──モナ・リザって何がすごいんですか? こんなこと言うなんて変ですかね…?

いえいえ! 多分それが一般的な感想だと思いますよ。なんだか有名な作品すぎて、「何がどうすごいのかなんて考えたこともない」みたいな。
そしてモナ・リザのすごさは、なかなか一言では言いづらいんですよね。

──いっぱいあるってことですか?

そうですね…いっぱい絡み合っているイメージでしょうか。
まずは、誰がどう見ても上手な絵なので、技法に関しては文句なしですね?

──うーん、ないですけど…。でも上手な画家って他にもいっぱいいますよね?

はは、確かに(笑)。
その意味では、作者のレオナルド・ダ・ヴィンチは上手な画家の第一人者って感じですね。まず、モナ・リザが描かれたのは今から500年ほど前なんですが、ダ・ヴィンチが登場する前の画家の作品をご覧いただきましょうか。

フィリッポ・リッピという画家の「聖母子と二天使」という作品です。

聖母子と二天使 フィリッポ・リッピ『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』より


どうです? こちらもきれいでしょう。

──そうですね、とってもきれいです。でも…なんか硬い? なんでだろ…?

素晴らしい! 「硬い」という印象、大正解です! そして、その理由の一つは「輪郭線」にあります。

──輪郭線…ってあのマンガとか描くときのやつですか? 確かに形の周りが全部線で囲われていますね…。

はい! モナ・リザ以前の絵画の多くは、この絵のように物事を輪郭線で区切って描かれていました。

だけど「現実の世界に輪郭線は存在しない!」と考えたダ・ヴィンチは、輪郭線を外して陰影で表現してみたんです。

すると、絵がもっと自然に見えるようになりました。
そして、時間をかけながら絵具をぼかして描く「スフマート」という描き方を取り入れることで、写真のような本当にリアルな表現に到達できたんです!

口元なんてまさにスフマートの効果と言われていますね。

──なるほど、確かに口元のあたり、すごく巧みなぼかし(と、言われたらそう見えなくもない)! 上手な画家はたくさんいるけど、ダ・ヴィンチはその第一人者だったんですね!

まぁダ・ヴィンチが輪郭線を使わずに描いた最初の人ってわけではないのですが、スフマートはダ・ヴィンチの発明とも言われています
たくさんの画家に影響を与えたことは間違いないですね。

あとはモナ・リザのこのポーズ。

──ポーズ。なんか肖像画によくありそうなポーズですが…。

これもダ・ヴィンチの発明したポーズと言われています。

──これもダ・ヴィンチの仕業ですか~!!

はい、それに背景の風景もとってもリアル。
「空気遠近法」って言うんですが、これもダ・ヴィンチが完成させました。
モナ・リザには現代の私たちが当たり前に使っている、当時最先端の表現上の発明がたくさん詰まっているんですよ!

──なんと! そんなにすごかったんですね、モナ・リザ! 恐るべし…。

(本記事は山上やすお著『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』から一部を抜粋・改変したものです)