不動産の呪縛#7Photo by Masami Usui

ソフトバンクグループ(SBG)が出資する米シェアオフィス大手ウィーワークが日本の民事再生法にあたる連邦破産法第11条(チャプター11)適用の申請することを検討していると、10月31日に米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。経営不振により、早ければ来週に破産申請する可能性があるという。では、日本の事業にはどんな問題があったのか――。2020年末に配信した特集『不動産の呪縛』(全10回)の#7では、ウィーワークや大企業を苦しめる「呪縛」に迫った。当時、「オフィス分散化」が盛り上がり、シェアオフィス市場への参入が増えていた。しかし、18年に日本へ上陸したウィーワークは、この波に乗って稼ぐには致命的な問題を抱えており、それはリモートワークが増えてもオフィスの移転や縮小を実行できない大企業の悩ましい事情に通じていた。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

※2020年12月7日に公開した有料会員向け記事です。全ての内容は初出時のまま

シェアオフィスが盛り上がっても
日本で儲けられない事情

 従来のオフィス市場は、都心の大型ビルに広いスペースを借り、バラバラになっている拠点を集約化するというのがトレンドだった。それが新型コロナウイルスの感染拡大で一転した。郊外の拠点などに分散化したり、リモートワークが一定程度定着するのを見越してオフィスを縮小する流れが生まれた。

 働き方のニューノーマルによって多くの企業がサテライトオフィスを使うようになれば、シェアオフィス市場は盛り上がる。そう期待して、参入する企業が相次いでいる。先んじて2018年、米シェアオフィス大手のウィーワークが日本に上陸し、新築ビルにどんどん出店。都心を中心に現在、36拠点まで拡大した。

 このウィーワーク、実は日本でオフィス分散化の波に乗って儲けていくには致命的な問題を抱える。それは、リモートワークが増えても、オフィスの移転や縮小を実行できない大企業の悩ましい事情に通じている。