スルガ銀行でのシェアハウス「かぼちゃの馬車」関連の不正融資問題が発覚してから5年。同行は不正融資問題の解決とガバナンス体制の再構築、創業家との決別などに取り組んできた。2023年6月に就任した加藤広亮社長に、問題となった不動産融資問題の状況や成長戦略について、話を聞いた。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
アパマンローン問題がくすぶる中
23年4月から中計「第2フェーズ」へ
スルガ銀行は、2018年5月に発覚したシェアハウス「かぼちゃの馬車」関連の不正融資に関して、20年3月から合計4回にわたって第三者へ債権を譲渡。土地と建物を譲渡するとともに、債務が完済される手続きを進めてきた。
22年9月には、対象となる顧客(シェアハウス関連融資の債務者)への対応が終わり、23年4月から中期経営計画の「第2フェーズ」を進めている。業務改善計画と不正融資問題に重点的に対応した第1フェーズと違い、第2フェーズは成長戦略に軸足を置いている。
もっとも、足元では投資用アパート・マンション向け融資(アパマンローン)について、不法行為責任が認定される可能性が高い案件もあるため、顧客と協議を続けている。一部の顧客は抗議デモを行うなど、銀行側との溝は今も深い。
そんな中で23年5月、クレジットカード大手のクレディセゾンと資本業務提携を発表。さらに同年6月、副社長だった加藤広亮氏が社長に就任し、新体制が発足した。
加藤新社長は懸案のアパマンローンにどう対処し、成長戦略を進めるのか。クレディセゾンとのシナジー効果はどのように生み出すのか。
シェアハウス関連融資は一律解決済み
2.5%の対応必要な案件には真摯に対応
――18年にシェアハウス「かぼちゃの馬車」関連の不正融資問題が発覚し、金融庁から行政処分(一部停止命令ならびに業務改善命令)を受けてから5年が経過しました。足元の状況を教えてください。
中期経営計画の前半である第1フェーズ(19年度から22年度)は、経営再建のフェーズでした。シェアハウス関連や投資用アパート・マンション向けの融資(アパマンローン)の対応を最優先に取り組み、経営の足元を固めた時期でした。23年度からの第2フェーズは、再成長へ向けて取り組むフェーズです。
ただし、再成長を目指すとはいっても、第1フェーズから引き続き対応していくべき問題はまだあります。