米経済はまだ雇用を生み出している。1年前には多くのエコノミストや連邦準備制度理事会(FRB)当局者が、今ごろは雇用が減少しているだろうと考えていた。労働省が3日発表した10月の非農業部門就業者数(季節調整済み)は前月に比べ15万人増加した。9月の29万7000人増は下回ったが、増加幅縮小の一因は自動車業界のストライキだ。ストは後に労使の暫定合意を受けて終結する見通しとなったが、労働者は一時、給与を受け取れなかった。10月の平均時給は前月比0.2%上昇し、前年同月比の伸び率は4.1%となった。これは2021年6月以来の低水準だったが、当時とは異なり、今では賃金上昇率がインフレ率を上回っている。一つ読み取れるのは、労働市場が落ち着きつつあるものの、崩壊してはいないということだ。この点は週間失業保険申請件数や人員削減数が低水準にとどまっていることなど、他のさまざまな統計によって裏付けられている。もう一つは、FRBが恐らく引き締めに終止符を打ったということだ。3日午前の金利先物市場では、FRBが12月の会合でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を引き上げる確率は10%未満となった。ほぼ2週間前に一時5%台に乗せた10年物国債利回りはこの日も低下を続け、午前の時点で4.53%となっている。
雇用統計が映し出す「驚異的」強さの米経済
1年前の予想と比べ低い失業率、景気後退回避の可能性高まる
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