ウクライナへの全面攻撃を開始してから2年を迎えようとする中、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領には自信がみなぎっている。期待されたウクライナの反転攻勢は、大きな成果を上げて同国政府が強力な交渉カードを握るという状況には至っていない。メディアが報じるのは中東情勢の混乱を巡るニュースばかりで、米国では超党派のウクライナ支援が議会の対立と機能不全によって頓挫している。2024年米大統領選の共和党候補として有力なドナルド・トランプ前米大統領が親プーチンに傾いていることは、言うまでもない。プーチン氏には時間が味方していると信じるだけの理由がある。前線では、消耗戦の様相を呈している戦争にロシアが敗れつつある兆候は見られない。ロシア経済は大きな打撃を受けたが、崩壊してはいない。民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏が6月に反乱に失敗したことで、逆説的ではあるが、プーチン氏の権力保持力は強化された。ウクライナとの戦争に対する民衆の支持は堅固なままであり、プーチン氏に対するエリート層の支持も崩れていない。
【エッセー】ロシア敗北という幻想、今こそ捨てよ
ウクライナ侵攻を断念させるべく西側諸国が手を尽くすが、プーチン体制は揺らがない。米国とその同盟国には「封じ込め」という新たな戦略が必要
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