マーケットメイカーとブローカーの荒々しい世界
電子的なマーケットメイキングと平行して、NYSE-AmexやCBOEなどの一部の証券取引所では、オープンアウトクライ(Open Outcry)と呼ばれる伝統的な立会いによるオプション取引も行われています。
取引したい数量が大きい場合や、電子的に提示されたマーケットより少しでも良い値で取引を行いたいと考える投資家は、注文の取次ぎを行うブローカーを経由して、その銘柄を扱うマーケットメイカー達に直接価格を聞くことができます。
立会場は、扱う銘柄ごとにいくつものブースに分かれており、各ブースに複数のマーケットメイカーたちが存在するという構造になっています。そしてブローカーが頻繁にブースに出入りして、顧客である投資家のためにマーケットメイカーたちに値を聞き、納得いく価格であれば取引を行うわけです。
その取引のさまは実に原始的です。典型的なオープンアウトクライは以下のような感じです。
ブローカーが、ある投資家のオーダーを受けて
「Google Feb 750/770/790 Put Butterfly, What’s the market!」
と叫びながらやってきます。
Butterfly(バタフライ)というのは異なるオプションを組み合わせて売買するスプレッドの一つです。これについては7章で詳しく見ていきます。
マーケットを聞かれたマーケットメイカーたちは例えば
「7.80 at 9.00, 200 up!(seven eighty at nine, two hundred up!)」
と返します。
これは、ビッドが7ドル80セント、オファーが9ドルで、200個までトレードするよという意味です。