ただし、このように叫んだ者はすべての数量を売買しなければならないので注意が必要です。
 例えば、1,000個ではなく500個だけ買いたい場合は「Buy five hundred!」と叫ばなくてはな
りません。
 「Buy’em」と叫んだら、その時点のオファーすべての数量を買うことを意味します。

 逆に500個だけ売りたければ、「Sell five hundred!」と叫ぶ必要があり、「Sold!」と言えばその時点のビッドの数量すべてに対して売りを浴びせることを意味します。

消えつつある取引所の”アニマル”たち

 基本的には早く叫んだ者勝ちなのですが、実際にはマーケットメイカー同士の仲が険悪にならないように取り分の配分を配慮します。

 立会場は、ブローカーやマーケットメイカーが少しでも良い値で多くの取引を実行しようと叫び声が飛び交い、時には殺気にあふれた空間となります。
 取引所を古くから知る人によれば、それこそ一昔前の取引所のトレーダー達は「animal」だったそうです。つまり、動物のように攻撃的でワイルドだったという意味です。

 以前は数量の大きな注文のほとんどは取引所におけるオープンアウトクライで取引されていましたが、最近は電子取引の発達や、オフィスに居ながらブローカーの持つ大きな取引に参加することが容易になったため、こうしたオープンアウトクライ取引は減少傾向にあります。

(次回は、3月29日に掲載します)


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目次

1章  オプションとは
2章  プットコールパリティ
3章  オプション価格はどう決まるか
4章  オプション価格計算モデル
5章  ボラティリティとは
6章  ボラティリティサーフィス
7章  スプレッドとは
8章  グリーク
9章  グリークの視点からのスプレッド
10章  コールとプットの等価性
11章  オプションアービトラージ
12章  アメリカン型オプションの早期行使
13章  トレーダーの視点
14章  VIXとは
用語集
正規分布表
索引