2つ目は、金融経済と実体経済のデカップリング(分離)です。実体経済がこれだけダメージを受けて失業率が上がっていても、株価は下がりませんでした。極端に言えば「株価はコントロールできる」と各先進国の政府と中央銀行が気づいてしまった今となっては、株価を適切に下げるという政治判断を下すインセンティブが、政治家には存在し得ないと思います。お金がジャブジャブと刷られると、株も不動産も、金、そしてビットコインも全部価格が上がるのだという、経済学の教科書的なことが起きた1年だったのではないでしょうか。
YouTubeのテレビ化、縦に拡張するGAFAMの動き
コロナ禍が沈静化した後の各国の金融政策に注視していますが、緩和、引き締め、いずれの場合でも、引き続きデフレ資産でありデジタルゴールドたり得るビットコインは面白い存在になるのではないでしょうか。ただ去年の寄稿記事でも、「ビットコインは面白い」と連呼していたので、それ以外に現在進行系で注目してることを挙げてみます。
「ググる」減少と、YouTubeのテレビ化
GoogleではなくYouTubeで検索するという消費者行動は、さらに加速すると思います。TwitterやInstagramで検索するよりも、もっと広くて普遍的なユースケースに育ちうると考えてます。それは、文字読むよりも、動画を見る方が楽だからです。
企業や飲食店、芸能人、スポーツ選手が自分のYouTubeチャンネルを開設するのが当たり前になるのではないでしょうか。それはあたかも、90年代に企業がホームページを初めて開設していった動きと同じようにも思えます。それはつまり、かつての「家庭におけるテレビ」のようなポジションをYouTubeが担うということにつながると思います。
個人のエンパワメント、第二章
「もっと競争に勝てるように」「もっと稼げるように」という方向よりも、「より自分らしく」「承認欲求を満たせるように」という方向のエンパワーメントに、ウェブをはじめとしたテクノロジーが活用される動きが一段と強まるのではないでしょうか。
日本が経済的な意味で国際競争力を失い、大多数の人々の実質賃金が上がっていない事実もこれを後押しすると思います。社会的ステータスというものが剥がされて、他人の価値観よりも自分の価値観を重視する人が少しずつ増えていく。コロナ禍により社会的生活が制限され、より自分の価値観や家族に向き合う人が増えたことも影響していると思います。
ハードウェア次第で普及するVR
VRヘッドセットの価格が十分に下がってきたので、アダルト、そしてゲーム及びエンタメ、その後に他領域への展開が待っているのではないでしょうか。すでにあるエコシステムが底上げされて大きくなり、キャズム越えも見えてくるような印象があります。とはいえ、2021年内にはまだキャズム越えまではないでしょう。