世論調査における安倍内閣の支持率上昇の流れが続いている。前月比で「支持が増え、不支持が減る」傾向は各調査で共通していると言ってよい。絶好調である。
先週末のNNNの調査では、支持率65.4%(前月比1.2ポイント増)、不支持率16.6%(同1.9ポイント減)、朝日新聞では支持率65%(同3ポイント増)、不支持率17%(同変わらず)とほぼ同じ結果となっている。ちなみに毎日新聞の調査では支持率は7ポイントも上昇し、70%の大台に乗った。
今回の一連の調査は3月15日の安倍晋三首相の「TPP交渉への参加表明」を受けてのもの。実質はTPP世論調査と言ってもさしつかえない。
その結果を集約すれば「これまでの進め方は納得できる。これからは注意深く見守っていく」と総括できる。
消費者の間でも高まる
農業自由化に対する懸念
実際、今回のTPP交渉参加表明にはかなりの理解が示されたものの、今後の進め方や交渉内容となると世論の戸惑いや不安は依然として強い。今後も冷静で慎重に交渉過程を見守る姿勢は変わっていない印象を受ける。
結局、安倍首相の参加表明に至る過程に誠意が示されたという評価が意外に大きかったのではないか。朝日調査でもTPP参加に賛成は53%だが、首相の交渉参加表明については71%の多数が「評価」している。
ところが、安倍首相の発言通りに交渉を進めることが「できない」と思っている人の方がわずかながら多く、また、TPPでの農業自由化が、日本の農業にとって悪い面が大きいとする人が56%と過半数を超え良い面が大きいとする人(24%)の倍以上となっている。
驚くのは、外国の安い農産物が入ってくるのをよいことだと思う人が36%にとどまっているのに48%が「よくない」と答えていること。そして、食品の安全基準が下がる不安を感じる人が71%に達し、感じない人の22%を圧倒している。
これらの数字は、消費者の間にもTPPに対する不安が根強くあって、さらにそれが広がる傾向にあることを示していると言えるのではないか。