例えば、車を買うときなどのお金に充てるとしても、400万円の車を買った場合、「200万はあなたの口座から出ていることが分かりますが、残りの200万の出どころが分かりません。現金であったのですか」という話になります。このようなメカニズムで調査は行われます。

 税務署は非常に細かく調べますので、つじつまの合わないことがあれば、必ずバレます。ただ、本当に少しずつ現金でためてそれを手渡しし、少しずつ現金で使い切ったというのであれば、税務署でもチェックしきれないかもしれません。

 ここで「では、どれくらいの金額が危険か?」と思われるかもしれません。

 私の肌感覚としては、10万円前後だとまず聞かれませんが、100万円くらいになると必ず聞かれます。50万円くらいでも、「このお金はどこにいったかわかりますか?」というようなことを聞かれます。また、過去10年分くらいの金額をチェックされますが、亡くなる直前になるほど重点的にチェックされます。

 正直なところ、5年前に10万円、使っても、自分たちでも思い出せません。それが親の使ったものとなるとさらに、絶対に分かりません。

 しかし、亡くなる直前なら家族がお金を管理していることもあるので、基本的に分からないはずはないと判断されます。従って、亡くなる直前であれば、もしかしたら10万円程度でも根掘り葉掘り聞かれるかもしれません。気をつけてください。

(本原稿は『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】』の著者、橘慶太氏への取材をもとに作成したものです)