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加藤 今まであらゆる政治家や知識人に質問してきたんですけど、納得のいく答えをもらっていません。「まあ加藤君、日本っていうのはそういう社会なんだよ」という感じで軽くあしらわれる。中国の若者にこの話をぶつけると、こんなことを言われるんです。

「日本は民主国家ですよね。若い人は総理大臣をなんでバカ呼ばわりするのか。自分たちが選んでいるのに」と。「中国では自分たちが国のリーダーを選んでいるわけではない。もちろん政策批判はするけど、トップをバカ呼ばわりなんてしない」と。

 アメリカでも同じことを感じています。オバマ大統領のことをあからさまにバカ呼ばわりするような人はほとんどいない。リパブリカン(共和党)の人は政策批判をしたり、選挙戦では中傷合戦をしますけど、選挙によって選ばれたリーダーをバカにして、冷笑するっていう風潮は有権者の間でもあまりない。

 中国の学生にとってみれば、日本の有権者は自分で政治家を選んでいるのにもかかわらず、選んだ当事者をあざ笑っている行為が理解できないってことです。この根底には何があるんだろうと。

津田 それに対する答えは、僕は一つ思い浮かんでいるんです。それは既存のマスメディアが強すぎるんですよ。

加藤 既存メディアが強すぎる?

津田 基本的にマスメディアは政治家のことを減点法でしか評価しないんですよ。つまり、良いことやっても記事にならなくて、なんかヘマをやったら記事を書く。

 影響力が強いのは部数を見てもわかりますよね。部数の上位から読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、中日新聞、日本経済新聞。しかも、この日本のベスト5は世界の発行部数ベスト5でもある。日本は宅配制度が強力なので、他の国と比較して部数が多くなって、それで影響力が強い。テレビも無料で見られる地上波テレビの数が多い。圧倒的にマスメディアの影響力が、他の国と比べて強いんですよ。

加藤 読売新聞は1000万部売れているらしいですね。ウォールストリート・ジャーナルは200万部程度。エコノミストが100万部くらい。

津田 ニューヨーク・タイムズは紙の新聞の方は100万部を切っていまね。

 政治家がテレビに出てきても、ロクなこと言えない。結局、1人がしゃべるのは30秒とか、そんなもの。十分に政策を話したり、議論をしたりっていうことはできない。