2011年の高速鉄道事故などを機に空前の盛り上がりを見せた中国版ツイッター「ウェイボー(微博)」。ユーザー数は3億人を超え、欧米や日本のSNSとは比べものにならないほどの社会的影響力を持つ。今や中国を語る上で欠かせない存在となったウェイボーの現状とその活用法を探る。

3億人を超えるユーザーを持つ「中国版ツイッター」
その情報伝搬力は中国社会に大きなインパクトを与えた

 中国の消費者は今、何を考えているのか――。中国ビジネスの現場でそれを知る手がかりとして今最も有効なのが、ウェイボー(微博)だろう。当局によるメディア統制が敷かれるこの国では、2011年に空前の盛り上がりを見せたソーシャルメディアの社会的影響力は欧米や日本の比ではない。

 それが端的に現れたのが、2011年7月の高速鉄道事故だった。いまや3億人を超えたとされるユーザーたちが、こぞって中国版ツイッターと称されるウェイボーにアクセスすることで発揮されたかつてない情報の開示力や伝播力が中国社会に大きなインパクトを与えたことは記憶に新しい。

 もっとも、ウェイボーは件の高速鉄道事故や昨今盛んな薄熙来重慶市書記の失脚騒動のような中国の「民主化」や政争をめぐる話題ばかりがつぶやかれているわけではない。政治寄りの話題は当局の意向によっていかようにも操作されてしまうため、どこまで民意に近いか判別が難しい面がある。

 むしろ、いまやフォロワー数1000万人超という快挙をひっさげ中国国営テレビに出演、ついには映画デビューを果たすというセクシータレント・蒼井そらのチャイナ・シンデレラ・ストーリーのような意想外な話題を次々に提供してくれるところがウェイボーの本領というべきかもしれない。

 ツイッターやフェイスブックなどの欧米系SNSへのアクセスが政府によって遮断された2009年、それにかわって爆発的にユーザーを獲得したウェイボーのメインユーザーは、新しい消費スタイルを身につけた「80后」「90后」と呼ばれる若い世代だといわれる。当然のように、その伝播力をビジネスに活用する企業も現れている。中国ローカル企業はもとより、欧米やアジア、日本企業の取り組みもすでに始まっている。