2023年7月の規制緩和で普及が推進された電動キックボードが、一層の注目を集めている。次世代のモビリティとして当初から注目度は高かったが、1月19日に金融庁が電動キックボードの自賠責の保険料引き下げを発表するなど、新たな動きがあったためである。世間の声や事故件数などのデータを見ながら電動キックボード界隈の諸々をざっくりまとめ、電動キックボード文化がどのように展開していけば美しいかを考察する。(フリーライター 武藤弘樹)
電動キックボードに乗ってみた感想
「楽しい」と「怖い」が入り混じる
まず、筆者が電動キックボードに乗ってみた所感を紹介したい。
利用したのは、2021年から東京・大阪・横浜など全国大都市のいくつかに展開されている「LUUP」というモビリティサービスで、ここで電動キックボードをレンタルした。料金は30分ごとに200円(大阪だけ別の料金体系)となっている。
走行ルートは自由で、「ポート」と呼ばれる駐輪場のようなスペースから借りた機体を、最終的にどこかの「ポート」に返しさえすればよい。そしてポートは現在激増中で、結構な密度で点在している。
まず感想は、「とても楽しい」であった。ハンドル部にあるトリガーのようなものを親指で押し込むと、機体が音もなくスイーと前進する。最高時速20kmだから、「そこそこスピードに乗った状態のママチャリ」くらいの速度が出て爽快である。
しかし同時に「とても怖い」と感じもした。
乗り心地は自転車より不安定に感じられる。また、電動キックボードが主に走ることになる自転車の走行レーンがほとんどの場所できちんと整備されていないので、路面の状態からして不安である。また、ヘルメットの着用が「努力義務」である点も不安に思われた。