さらに、“指導”というのは、どういうものなのか?悪質な場合、罰則が伴うのか?と突っ込んで聞いていると、他の担当者が出てきて、こう答えた。

「ハローワークとしては、労働条件と違う求人票を記載されるのは、非常に問題がある。実際に働く内容で申し込みするようにと指導し、必要に応じて求人内容を訂正することになります」

 万一、申し込まれた求人の仕事内容が法令に違反している場合は、「紹介保留」の措置がとられる。

 何ヵ月経っても採用しようとしない企業の情報が確認できた場合には、求人者の求める人材をきちんと確認したうえで、それに見合った人を紹介するように努めているという。

「ハローワークでは、未充足求人のフォローアップを行っていて、何が原因なのか、分析したうえで対応することになります」

 それにしても、企業にとって、採用につながらない求人を出し続けることに、どんなメリットがあるのか。この担当者は、「何か助成金がもらえるということはない」と否定したうえで、こう付け加えた。

「ハローワークに求人を出すということは、人を採用したいからで、それ以外の何ものでもないと思う。応募する側のほうの問題もあるかもしれません」

 2011年度の新規求人数のうち実際に就職が成立した「充足率」は、26.9%。今年1月の実数をみても17.6%と、採用した会社は4~5社に1社の割合という状況が続いている。にもかかわらず、厚労省としては、求人を出す企業側というより応募する個人の側の問題と認識しているようだ。

 このように「まともな雇用がない」という状況に加え、賃金などの雇用条件も悪化していると、Aさんは指摘する。

「国がデータ入力作業などの仕事をたくさん出しているのに、特定の大企業や団体に発注されている。国が中高年向けの仕事を発注するようなシステムができるといい。入札案件も山ほどありますが、中高年には仕事が回ってきません。十分利益を上げているような企業が持って行ってしまうのです」

 Aさんは、「このままでは、ますます生活保護が増える」と危惧する。そこで、今後、地方自治体の「シルバー人材センター」の中高年版ともいえる「中高年人材センター」を民間で立ち上げる準備を進めていて、一緒に協力してくれる人を探している。


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