「就職が厳しい」「就職氷河期はいつ終わるのか」

 このような声が、聞かれない日はない。その一方、企業側からは「採用が厳しい」との声が上がる。

 どちらかというと買い手市場であり、企業有利と思われているのだが、実は企業側は採用難であるという現実もあるのだ。

 何故か。ワークス研究所では、2011年4月入社者についての、採用計画(予定)数、内定総数(延べ人数)、採用(実績)数や、内定出しの開始および終了時期等についての調査を行った。この調査結果で、採用の厳しさが垣間見られたのだが、その理由について、探っていきたい。

予定通りにいっていない
「採用」の実態

 新卒者を何人採用するかの予定数を「100」とした場合(図表1)、内定をどのくらい出したかを示す内定総数は104.8と、予定数よりも多く内定を出していることがわかり、特に、従業員規模が大きい企業ほど内定を多く出している。また、どれだけ採用したかの採用数は82.6と、100を下回っていることがわかる。

「企業の採用難」というのは本当?<br />「就職難」だけではない採用の実態

 つまり、採用予定より多く内定を出しているにもかかわらず、予定通りに採用できていない実態が明らかとなったのである。

 より多くの内定を出しているにもかかわらず、採り切れていない状況の背景には何があるのか。企業から、「応募者の数が少ない」「応募者はある程度いるが、基準に合う者が少ない」などの声が聞かれるが、「内定式後に、辞退を申し出られた」など、内定辞退の問題についての声も決して少なくない。そこで、「内定辞退」がどのような状況になっているか、見てみよう。