「こんなに利益が出たのに、手元に残るお金はわずか」
経営者なら、誰しも一度はこう思うはずです。だからといって、小手先の節税に躍起になってはいけません。会社のお金を1円でも多く残し、そのお金を会社の投資にまわし、会社をより成長させる。それこそが経営者の仕事です。
本連載は、「1円でも多く会社と社長個人にお金を残す方法」を学ぶものです。著者は、財務コンサルタントの長谷川桂介氏と公認会計士・税理士の黒瀧泰介氏です。インボイス制度、各種法律に完全対応の『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』の著者でもあります。経営者の超リアルなお金の悩みに対し、あますところなく解決策を提示した1冊になっています。

自宅兼オフィスの「家賃」は経費になる? ならない?Photo: Adobe Stock

家賃や光熱費は経費になる? ならない?

 経費とは、事業を行ううえで必要不可欠な費用を指します。逆にいえば、「売上に関係のない出費は、経費ではない」ということです。これが大原則です。

 法人税をはじめとする、法人にかかる税金は、「収入から必要経費を引いた利益」に税率を掛け合わせて計算します。そのため、経費を多く計上すればその分、法人の利益は圧縮され、結果として節税につながります。だから多くの社長さんは、なるべく広い範囲の支出を経費として計上し、利益を少なくしたいと考えるわけですね。

 本日は、「自宅兼オフィス」の水道光熱費、家賃、インターネット料金は経費にできるかどうかについてお話しします。

 結論としては、「一部はできるが、全額を経費にするのは無理」です。「仕事で使用した分」と「プライベートで使用した分」の按分が必要になります。

 按分の割合に、具体的な規定や制限はありません。しかしもちろん、好き放題に「仕事での使用分」に含めていいわけでもありません。重要なのは「税務調査になったとき、税務署に内訳をきちんと説明できるかどうか」です。

 たとえば家賃を按分する場合は、生活用スペースと事業用スペースを明確に区分けしておき、仕事で使う面積の割合分だけを経費に計上するとわかりやすいですね。

 水道光熱費も同様に、仕事で使った量(または時間)とそれ以外に分けることで、税務署が聞いても納得度の高い按分ができます。

(本原稿は『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』から一部抜粋、追加加筆したものです)