「忙しすぎて本を読む時間がない」「1冊読み切るのに時間がかかる」「読んでも読んでも身につかない」――そんな悩みを抱えているビジネスパーソンは少なくありません。本を読めばいいことはわかっているのに、自主的に読めない人もいるでしょう。
何の本をどう読み、どう活かしていくか――働くうえで必携のビジネススキルを良書から抜き出したのが『ひと目でわかる! 見るだけ読書』。本書は、コスパやタイパを重視する現代的な読書スタイルを重視する人にとっても、魅力的な読み解き&活用法です。たった「紙1枚」を見るだけで本の最も大事なポイントが圧倒的なわかりやすさで理解でき、用意したワーク1枚を埋めるだけで即スキル化できる1冊。それも1万冊の読書体験と1万人を教えてきた社会人教育の経験から、絶対に読んでほしい24冊+αを紹介。ただ、エッセンスをまとめただけでなく、読後には、紹介した本が有機的につながっていく仕掛けがあなたのビジネススキルを飛躍的に向上させます。

人間関係に悩む人が絶対読むべきベスト本とは?Photo: Adobe Stock

4つのタイプ分けで洞察、人間関係が大きく変わる

『ユダヤ人大富豪の教え』(本田健著、大和書房)は、2003年に出版され、その後14年かけてじわじわとミリオンセラーを達成した本です。

 ただ、私自身が最も影響を受けているのは2011年に刊行された『ユダヤ人大富豪の教え ふたたびアメリカへ篇』という続々編(3作目)でした。現在は文庫化された『ユダヤ人大富豪の教えⅢ』。ここから得られる最大の学びは、「人間関係は4つのタイプ分けで洞察できる」という点にあります。

•「ポジティブ自立」
リーダー、社長タイプ、楽観的、エネルギーにあふれている、ビジョン指向、問題解決指向、感情から逃げがち

•「ポジティブ依存」
なごみキャラ、場を柔らかくする、人の反応を気にする、ミスをしがち、いじめられっこタイプ

•「ネガティブ自立」
有能な管理者タイプ、チェックが厳しい、完璧主義者、批判的、いつもイライラしている、いじめっこタイプ

•「ネガティブ依存」
共感能力が高い、有能なカウンセラータイプ、芸術的感性、悲観的、自己憐憫(じこれんびん)、自己批判が強い

 一通り読んでみて、どれが一番自分に当てはまりそうでしょうか。あるいは、あなたの周囲の人はどうでしょうか。

 私自身は、「ネガティブ自立」タイプの特徴が一番当てはまります。それがホームベースであることは間違いないのですが、だからといって同じようなタイプの人ばかりと仲よくしていると何が起きるのか。

 このパーソナリティはガンガン推進していったり、多くの人を巻き込んでいったりということが苦手です。共感も苦手なので、周囲に配慮したりケアしたりといったことができず、このままでは停滞するばかりで物事が前進していきません。

 そこで、「ネガティブ自立」ばかりの集団であっても、誰かが推進役の「ポジティブ自立」の役回りを担ったり、「ポジティブ依存」キャラになって一匹狼集団をコーディネートしていったりする必要が出てくるわけです。

 そうやって自分らしくないパーソナリティを続けていれば疲弊する人も増えてくるため、その際は「ネガティブ依存」タイプのようなケアに長(た)けた人になる必要性も出てくるでしょう。

 つまり、人間関係というのは、「自分のタイプを押し通す営み」ではなく、「相手との関係性に応じて4つのタイプを行ったり来たりするダンスのようなもの」なのです。これが『ユダヤ人大富豪の教えⅢ』の最大の読みどころとなります。

 10年以上前の書籍ですが、タイトルが『ユダヤ人大富豪の教えⅢ』となっているせいで、人間関係に悩んでいる人の大半が、この本の存在自体を知らないままになってしまっている……。過去に何度かこの本を紹介するたびにそう感じてきましたので、今回のガイドがよいきっかけになれば幸いです。

『ひと目でわかる! 見るだけ読書』は、パッと見るだけの圧倒的なわかりやすさで、名著の本質が分かる1枚シートに加え、著者の用意した1枚ワークを埋めるだけで、読み返しがいらなくなるほど、名著のエッセンスが一読で身につきます。ぜひ、活用してください。

(本原稿は書籍『ひと目でわかる! 見るだけ読書』の一部抜粋、再編集したものです)