石油ムラ 大異変#3Photo by Masataka Tsuchimoto

セクハラで2代続けて経営トップが退任したENEOSホールディングス。系列のガソリンスタンドには醜聞による直接のダメージはなかったようだ。ただし、旧東燃出身の宮田知秀氏をトップとする新体制となった4月以降、特約店や販売店は戦々恐々としている。特集『石油ムラ 大異変』(全5回)の#3では、新体制が発足した4月以降、ENEOSで起きた三つの変化をレポートする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

ENEOSホールディングスとENEOS
「非日石&製造畑」の異例2トップ

 ENEOSホールディングス(HD)で4月、2代続けてのセクハラによる経営トップ退任を受け、旧東燃(その後の東燃ゼネラルグループ)出身の宮田知秀氏が新社長に就任した。宮田氏は2023年12月から社長職代行を務めていた。中核子会社のENEOSの社長にも旧三菱石油出身の山口敦治氏が就いた。旧日本石油(日石)出身者が占めてきたトップのポストで“脱日石”の異例人事となった。

 日本石油、日石三菱、新日本石油……。会社は合併・統合を重ねて形を変えてきたものの人事や販売畑が出世コースで、社内の隠語で彼らは「黒バット」と呼ばれた。だが宮田氏ら2人は製造畑であり、その点でも異例なのだ。

 ガソリン販売の現場であるENEOS系列の特約店や販売店に、販売量の減少など、トップの醜聞による直接的な被害はほぼなかったようだ。だが、突然の脱日石の経営体制の大変化に特約店や販売店が戸惑い、体制刷新の4月以降に生じた三つの変化に戦々恐々としている。何が起きているのか?