頭のいい人は自分を持っている

 対して、本当に頭のいい人は先ほどのように「こう考えている」と自分の意見を言うのはもちろんのこと、必ず最後も自分の頭で決断をしようとするのです。

 自分で考えたことは合っていようが間違っていようが必ず自分の身になります。なぜなら、そこには責任が生じるからです。どんなことでも責任が生じれば人は一生懸命になり、人を成長させます。

 かつての教え子で、まわりから非難されても自分の芸を曲げない芸人がいました。その芸人に、ネタを変えてみようと思ったことはないのか聞いてみたら、こう答えたのです。

「自分なりの仮説を持ってネタを作っています。少しずつですが、成功に近づいてる実感もあります。僕はやめません」

 すばらしい覚悟だと思いました。アドバイスをもらって自分を曲げてしまう学生は多くいます。それは納得してやっていればいいことですが、そうでない場合は、自分で考えるのをやめて楽をしているだけです。

 そうではなく、このように覚悟を持って考えて、決断することは本当に頭のいい人しかできないことです。まわりからすれば遠回りに見えるかもしれませんが、日々得られる経験の差は歴然でしょう。

 その芸人はのちに成功を収め、大阪を中心に今でもテレビや舞台で活躍しています。

「考える」というのは自分だけの特権です。同時に皆さんの行動を決めれるのも皆さんだけです。それを最大活用するのが本当の意味で頭を使うということですから、ぜひ頭の片隅に入れておいていただけると幸いです。