近年、「頭の回転の速さの象徴」としてお笑い芸人が多くの場面で活躍をしている。そんなあらゆるジャンルで活躍をし続けるお笑い芸人たちをこれまで30年間指導し、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも話題になった伝説のお笑い講師・本多正識氏による1秒で答えをつくる力 お笑い芸人が学ぶ「切り返し」のプロになる48の技術』が発刊された。ナインティナインや中川家、キングコング、かまいたちなど今をときめく芸人たちがその門を叩いてきた「NSC(吉本総合芸能学院)」で本多氏が教えてきた内容をビジネスパーソン向けにアレンジした『1秒で答えをつくる力 お笑い芸人が学ぶ「切り返し」のプロになる48の技術』より、本文の一部を抜粋・再編集してお届けする。

メモする男性Photo: Adobe Stock

頭の回転の速さは後天的に身に付く

 最初から頭の回転が速い「天才型」の芸人は極めて稀です。多くの人気芸人が訓練に訓練を重ね、何度も失敗し、それでも諦めず、頭の使い方を少しずつ覚えていくのです。つまり「頭の回転の速さ」は才能ではなく、訓練によって身につけることができる後天的な能力なのです。

 後天的に「頭の回転速度」を上げた芸人の代表的な例を挙げましょう。皆さんご存じの南海キャンディーズの山ちゃんこと山里亮太くんです。

 山里くんと言えば、今でこそ、漫才師でありながら、情報番組からバラエティ番組のMCまで器用にこなす「切れ者芸人」として有名ですが、最初から今のような頭を持っていたわけではありませんでした。

 大阪NSC22期生の山里くんは大学こそ大阪ではあるものの、千葉県出身で「大阪のお笑い」にまったくと言っていいほど馴染んでいませんでした。(入学当初から頑張ってはいましたが)見かねた私は、30年以上の講師歴のなかで唯一「大阪校ではしんどいと思うから東京校に編入させてもらい」と「失格」の烙印を彼に押しました。本来であれば、そこで諦めてしまう生徒がほとんどですが、彼だけは違いました。