言葉や質問への返事ひとつで、人間関係はギクシャクするものです。夫婦であればなおさらで、家庭は天国にも地獄にもなります。「よくデキた夫」でも、妻を大切に思っていても、悪気はこれっぽっちもなくても、ふとした拍子に「妻のスイッチ」を押してしまいがちです。コラムニストとして活躍する石原壮一郎さんの著書『押してはいけない 妻のスイッチ』(青春出版社刊)から、一部抜粋・編集して、夫にとってわかりづらい、押してはいけない「妻のスイッチ」について紹介します。
妻の質問「夕食は何がいい?」
夫の答え「簡単なものでいいよ。カレーとか」
普段から料理をしている夫は、絶対にこんな言い方はしません。
しかし、料理をしていないと、こんな恐ろしい言葉を平気で口にしてして、妻を怒らせてしまいます。
根本的な勘違いは、カレーはけっして簡単に作れる料理ではないということ。そりゃ、ものすごく凝った料理に比べたら手軽ですが、何種類もの野菜を切って、炒めたり煮たりするわけで、それなりに手間も時間もかかります。
いつも料理を妻まかせにしている夫が、いかにも「キミのことを気遣って譲歩してあげている」という顔をして、どこか得意気に「カレーとか」と口にする――。想像するだけで背筋に冷たいものが走ります。同じようにカレーを提案するにしても、「カレーが食べたいな」だったら、質問にちゃんと答えているわけで、妻が怒ることはないでしょう。
ただし、リクエストしてもいいのは、市販のルーを使った家庭用のカレーのみ。ややこしい手順を要する本格的なスパイスカレー系は、本人の突発的なやる気を原動力にしつつ、自発的に作るものです。
普段料理をあまりしない場合、「今日は僕が作るよ」と言って一緒に買い物に行き、妻に指南を受けながら挑戦して完成させる。後片付けも忘れずに!