中国型資本主義に向かう米国Photo:Bloomberg/gettyimages

 中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」が中国企業の傘下にとどまるのか、米国内でのサービス利用を禁止されるのか、それとも事業を売却するかを決めるのは誰か。ワシントンの政治家だ。米鉄鋼大手USスチールを買収できるのは米企業なのか日本企業なのかを決めるのは誰か。ワシントンの政治家だ。米国内での半導体製造を促すためにインテルに85億ドル(約1兆3000億円)の補助金を交付するのは誰か。もうお分かりだろう。

 かつては取締役会や株主総会で行われていた経営上の意思決定が、米国各地でますます政治の影響を受けるようになっている。米国が、生産手段を政府が管理する社会主義に向かっているわけではない。しかし、国家資本主義に傾いているのかもしれない。そこでは、国益を確保するため政府が日常的にビジネスに介入する。