半導体業界は、2023年の過剰在庫からの回復が予想以上に遅れている。この凶報をもたらしたのは、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が18日に発表した1-3月期(第1四半期)決算だ。同社はアナリスト向け電話説明会で、メモリー半導体を除く今年の市場全体の成長率見通しについて、3カ月前の「10%超」から10%に引き下げた。引き下げの主因は自動車向け半導体で、需要予想を当初の増加から減少に修正した。同社から説明はなかったものの、半導体が大きな役割を担う電気自動車(EV)の成長鈍化が背景にあると考えられる。TSMCの株主にとって朗報なのは、同社は半導体業界の指標とみられがちだが、市場そのものではないということだ。重要なのは、今年の売上高がドル建てで20%余り増加するとの見通しを据え置いたことだ。