日本円の価値がどんどん下がっている。円相場は29日に一時1ドル=160円を超える水準に下落し、数十年ぶりの安値を付けた。円安はこれまで経済的ジレンマとなってきたが、今や日本以外でも政治的・財政的問題となる恐れがある。直近の円急落のきっかけとなったのは、日本銀行が26日に金融政策の正常化のためのさらなる措置を取らないと決めたことだ。日銀は3月、日本経済に多大な悪影響を及ぼしてきたマイナス金利政策をようやく解除した。また、10年物日本国債の利回り目標を明示する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)をほぼ撤廃した。しかし植田和男日銀総裁は26日、平常時の金融政策への回帰が一直線には進まないことを示唆し、インフレ率が2%近いにもかかわらず、短期金利の誘導目標を0~0.1%程度に据え置いた。
【社説】円急落とドル切り下げ
為替変動が壊滅的な報復関税を招く可能性も
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