なぜカルビーは値上げより「白黒ポテチ」を選んだのか?社名に隠された深いワケPhoto:JIJI

中東情勢の悪化によるインク原料不足の影響を受けて、カルビーが「ポテトチップス」などのパッケージを白黒化すると発表し、衝撃が広がっている。なぜ早々に商品の見栄えを捨てるという決断ができたのか。社名に込められた意味を考えると納得できるだろう。(イトモス研究所所長 小倉健一)

ポテチのパッケージが白黒になる!カルビー異例の決断にざわざわ

 日本の消費財市場やスーパーマーケットなどの小売現場に、大きな衝撃を与える決定が報じられた。国内スナック菓子最大手のカルビーが、主力商品である「ポテトチップス」や「かっぱえびせん」などのパッケージを、5月下旬の出荷分から順次「白黒2色(モノクロ)」の仕様に変更すると公式に発表したのだ。

 いつも店先に並んでいた色鮮やかな袋が、突然白黒になってしまう――。読者も、想像して驚いているのではないだろうか。

 色彩は、消費者の目を引き、購買意欲をそそる重要な役割を担っている。華やかな色彩は、食品メーカーにとって売り上げを左右する極めて重要な武器であると言える。長年親しまれてきた武器を自ら手放すような決断を、なぜカルビーは下したのだろうか。

 直接的な原因は、中東情勢の緊迫化に端を発する資源の不足である。パッケージの印刷に必要なインクの材料(ナフサ)が手に入りにくくなったことだ。

 非常に厳しい状況のなかで、多くの食品メーカーは対応に追われた。材料費が上がった分だけ商品の値段を上げる値上げを選ぶ企業があった。値段は据え置く代わりに中身の量を減らす実質値上げを選ぶ企業も大半を占めていた。企業が利益を守るためには、極めて合理的で一般的な判断であると言える。

 インクが足りない事実を理由に、製造自体を一時休止する動きも見られた。スナック菓子業界全体が、ナフサ不足という未知の脅威に直面し、苦渋の選択を迫られていたのである。

 しかし、カルビーは他社とは全く異なるアプローチを選んだ。外装の色彩を極限まで削ぎ落とすことでインク使用量を減らし、商品がお店から消えてしまう欠品を防ぐ道を選んだのである。

 外見の美しさを犠牲にしてでも、中身を必ず届ける。異例とも言える判断の背景を深く探ると、カルビーという企業の根幹をなす「社名」に、明確なヒントが隠されていることに気づく。社名の由来を知れば、白黒パッケージへの変更が単なる思いつきではない事実が見えてくるはずだ。