早慶の強さが際立つ
理系人材も求められている

 23年のランキングでは、1位と2位は2社とも慶應義塾大学、早稲田大学となり、早慶の強さが際立つ結果となった。

 3位以下を見てみよう。大和証券は一橋大学、東京大学、大阪大学、神戸大学といった国立大の中にMARCH勢の一角である明治大学や中央大学、青山学院大学、関関同立勢の同志社大学などが食い込む形となっている。

 野村證券も、国立大、MARCHや関関同立勢がまんべんなくランクインしており、両社が人材獲得において競合している様子がうかがえる。

 証券業界では、実力主義の環境が一般的であり、実績に応じたインセンティブが給与や賞与に反映されやすい。これが証券会社で働く魅力の一つで、昔から「有名大学の体育会出身者が好まれる」といわれるゆえんだ。そのため、知力と体力を兼ね備えた学生たちが集まる傾向がある。

 最近は、デジタル戦略を経営計画の柱に据える証券会社が増えてきた。そこで求められているのが理系人材だ。野村證券で、前年はランクインしていなかった東京理科大学が9位に浮上したのも、その影響が考えられる。

企業の成長を志す学生にとって
証券業界はチャレンジの場に

 同業他社の顧客の獲得競争が激しくなる中、オンライン証券業者は銀行と提携したり、生命・損害保険などの業務を拡大したりすることで独自の経済圏を築こうとしている。企業の成長を志す学生にとって、証券業界は良きチャレンジの場となっている。

 ただし、証券会社が他の業種の大手と合併したり再編したりする動きもあるため、人事異動が活発になる可能性もある点は留意しておく必要がある。

 自由な社風を求めるなら、仲介を中心としたオンライン証券が働きやすい環境といえるだろう。

 一方、大手の総合証券会社は、特に富裕層との関係を強化することに重点を置いている。これは、ウェルスマネジメントやプライベートバンキングなどと呼ばれ、従来型の対面営業が今でも重要視されている。

 そのため、相続や事業承継、M&A(企業の合併・買収)、不動産の有効活用など、専門知識を持つ人材の採用にも力を入れる動きが見られる。

*この記事は、株式会社大学通信の提供データを基に作成しています。

【ランキング表の見方】
医科・歯科の単科大等を除く全国749大学に2023年春の就職状況を調査。567大学から得た回答を基にランキングを作成した。就職者数にグループ企業を含む場合がある。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。東京大学は「東京大学新聞」、京都大学は「京都大学新聞」より集計。大阪公立大は統合前の大阪市立大と大阪府立大の実績を掲載した。企業名は大学通信の調査方法にのっとって表記しており、正式名称と異なる場合がある。(調査/大学通信)