――特徴が明確ですね。
小野 三つに分けた理由は、オペレーションの効率化や人材育成という意味合いもあります。例えばONOYAは、工事の規模が大きいので1人の担当が窓口となり、施工やデザインなど各分野のプロフェッショナルを束ねる形を取っているのですが、ラクイエにはこの形は合いません。水回りは作業の分野が多岐にわたるものの、個々の作業の難易度はそこまで高くない。すべて専門家を呼んでいると効率が悪いので、複数の工事分野をこなせる多能工職人が求められます。そうした事業特性に合わせた組織体系にしているのです。
当社の最大の強みであるリフォームデザインに関しては毎月社内コンテストをして表彰するとともに、入賞者にはデザインのポイントをスピーチしてもらい、経験とノウハウの共有を図っています。こうした積み重ねもあり、外部の全国的なデザインコンテストでも七つの最優秀賞を獲得しました。
このような社内教育体制が学生に支持され、「マイナビ・日経2025年卒大学生就職企業人気ランキング」では4年連続で東北地区トップ10以内になりました。ここ数年は毎年30人前後の新卒学生を採用しています。地元・福島よりも、県外の大学生が多いですね。
――採用難の時代とは思えない採用実績ですね。
小野 今に至るまでには厳しい状況もありました。東日本大震災後には全店舗を一時閉じましたし、新型コロナの影響もありました。しかし苦境のときこそ負けてはいけないと事業を拡大してきました。コロナ禍の中でも東京をはじめ5店舗を出店しました。クレイジーと言われましたが、そういうときほどよい条件の物件が出てくるのです。「人の行く裏に道あり、花の山」は本当だと実感しました。
苦しい状況の中、須賀川信用金庫さんには融資などで助けていただきました。中小企業の視点から親身になって話を聞いてくれる、ありがたい存在です。
――今後の抱負をお聞かせください。
小野 「暮らしに合わせた家をつくる」「新築至上主義を変える」。私はこの二つを当社の事業を通して実現していきたいと考えています。そのためには会社の規模を拡大して影響力を高める必要があります。商圏は拡大できたので、2026年には年商100億円を達成したい。ゆくゆくは上場も目指しています。
(取材・文/杉山直隆、協力/須賀川信用金庫 「しんきん経営情報」2024年6月号掲載)
従業員数:295人
売上高:63億2500万円(2023年8月期)
所在地:福島県須賀川市池下23‐3
電話:0248‐75‐5185
URL:https://onoya.jp/