世界30カ国以上に展開、関係会社は約300社。急拡大でグループの社員数は20万人を超えている。グローバル化を加速させる2兆円企業のトップに問題意識を聞いた。
──3月4日、自動車産業が急成長を続けるタイで、海外では初となる「自動車用アルミニウム電線」(専用部材)の製造拠点立ち上げを発表した。銅ではなく、アルミにした背景には何があるのか。
私たちの主力商品である自動車用の「ワイヤーハーネス」(電源の供給や信号の通信などに使う電線を束ねた部材)は、現状では銅を使った電線が主流だが、将来的にはアルミを使った電線が増える。
まず、投機的な商品としての性格が強まった銅の価格は、「6カ月で3倍になる」など乱高下するので、安く安定的に入手することが難しくなった。次に、もともと銅の埋蔵量は、アルミの原料になるボーキサイトと比べると少ない。
一方で、アルミは銅よりも軽いという性質を持つ。燃費の向上などの観点から、「軽量化」を模索する自動車メーカーで銅からアルミへ部材の転換が進んでいるということも背景にはある。
──すでに、ワイヤーハーネスを扱う海外法人は、連結対象の会社だけで86社ある。今後、タイの製造拠点は、ASEAN(東南アジア諸国連合)をカバーするアルミ電線の供給基地になるのか。
国内では2010年よりアルミ電線を使ったワイヤーハーネスの量産を始めた。タイでは14年9月からアルミ電線の量産を始める。
いずれは、ASEANや中国などの拠点に部材を提供する展開も視野に入れている。だが、当面は日系自動車メーカーが数多く進出しているタイ国内の旺盛な需要に対応することになるだろう。