外国為替市場はここ10年、ドル高一辺倒だった。だがどんな王国も永遠には続かない。
ウォール街の大方の予想に反して、ドルは今年に入り改めて勢いづいている。物価指標が強弱混在していることから、投資家は利下げ織り込みを後退させている。
他通貨と比べたドル相場は、米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的に利上げしていた2022年のピークを依然として下回っている。それでも、インフレ調整後では歴史的に見て高水準にあり、国際決済銀行(BIS)のデータによれば、1971年にリチャード・ニクソン米大統領(当時)がドルと金の兌換(だかん)を停止した時の水準を10%下回っているにすぎない。これほど一貫してドル高が続くのは、典型的なタカ派のポール・ボルカー氏がFRBを率いていた1980年代以来だ。