通貨安は日本の株式市場にとって良いことだろうか。その事情は込み入っている。
従来、円安は日本株にプラスだと考えられてきた。輸出品の競争力が高まるはずだからだ。確かに今もそれはある程度は正しい。バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)によると、東証株価指数(TOPIX)を構成する銘柄の半数以上が輸出企業である。バンカメは、円の為替レートが対ドルで1円下げるごとに、大手500社を対象とするTOPIX500の構成企業の営業利益を0.5%押し上げると試算した。実際、トヨタ自動車とホンダは先週発表した2024年3月期決算で過去最高益を計上したが、円安効果が一因だった。